12月22日(日)クリスマス礼拝説教全文
「飼い葉桶の中に」 ルカ2:1~16
クリスマスおめでとうございます。主イエス・キリストの御降誕を心からお祝い致します。
誰かの生涯や伝記を書き始める時に、出生から書き出すか、その活躍した時から書き出すか、その書き方は様々です。クリスマスの出来事、イエス・キリストの誕生の歴史的な記事は、マタイによる福音書とルカによる福音書にあります。マタイによる福音書では、預言と成就という形で記されています。確かにこのお方こそ、聖書に預言されていた救い主です。「イエスの系図」「ヨセフへの知らせ」「インマヌエル預言」「東方の博士」の記事があります。
本日の箇所は、クリスマスに最も多くの人に読まれる聖書の記事です。 マタイが預言と成就という視点でイエスの誕生を記すのと対照的に、ルカは歴史的記述として、どの様な時代に、どの様な場所でお生まれになったかを記しています。 おとぎ話でも、作り話でも、幻想でもありません。事実、救い主イエス・キリストは、人としてこの地に来られました。世界史の中で、特定できる「この時」「この時代」に起きたことを記しています。 「マリアへの知らせ」「ベツレヘムの飼い葉桶の中に」「羊飼いへの知らせ」の記事があります。
救い主としてお生まれになったお方はどこで生まれたのか。 「ベツレヘムの家畜小屋の飼い葉桶の中に布にくるまって寝かせてある」(:12) 著者ルカは、イエスの十二弟子ではありませんが、パウロの宣教旅行に同行し、使徒行伝を記した人物でもあります。博学な人物で、彼は歴史家で医者、文学者であり、ギリシア語に熟練した知識人です。彼はしっかりと、マリアをはじめ、弟子たちから聞き取り、調査して、イエスの生涯を順序正しく書きつづっています。
ルカによる福音書は、イエス・キリスト誕生に至る事情を、順序正しく説明しています。(:1~7) 神のご計画 イエスがお生まれになった時
① ローマ帝国の全領土の人口調査の勅令が皇帝アウグストから出た(ローマ帝国の徴税・徴兵のため)(:1)
② 人口調査による住民登録の為に、ヨセフとマリアはベツレヘムへ上った(:4)。直線距離120Km。日本のここからですと、静岡県くらいまでの旅程
③ 無事到着したものの、宿の客間には彼らが居る余地がなかった
④ 羊飼い達への知らせ 「喜びの知らせ(NEWS)」 GOSPEL(福音)、GOODNEWS 第一報は 夜、ベツレヘムで野宿をしていた羊飼い達に届けられた 参考 「きよしこの夜 まぶねの中に」 まぶね=飼い葉桶 小学生に→「えさ桶」 ルカによるクリスマスメッセージは、「救い主誕生のしるしは、飼い葉桶(えさ桶)の中の幼子」 クリスマスメッセージを聞いて 今私たちが考えるべき事は なぜ、神は救い主を、あえて、王宮に生まれるのではなく、人々に迎えられず、貧しい、みすぼらしい飼い葉桶の中に、お与えになったのかということにあります。 このような神のご計画の中に、クリスマスのメッセージがあります。
その意味
「神の御子が、自らを低く貧しくなられて、私たちに豊かさを与えて下さった。神の豊かさと命に預からせる為に、最も低いところへ降りてきてくださった」(コリント人への手紙)
貧しさの中に神は住まわれます。それは私たちが神の豊かさと命に預かる為にです。
山上の説教の「8つの幸い」の第一、「貧しい者は幸いである」(ルカ)「心の貧しい者は幸いである」(マタイ)。ルカは経済的な貧しさを語り、マタイは豊かさの中にあったとしても自らが貧しい者であることを自覚する心の貧しさを伝えています。 いずれにしましても、イエスは貧しい者の友です。 不思議なことではありますが、歴史を通しても、現在も知ることですが、イエスの福音は、貧しい国々、虐げられている人々に爆発的に受け入れられていきます。豊かな国、自由な国には拡がりません。 苦しみの中、悩みの中、悲しみの中、しいたげ(虐待)の中にある者。病人の中に、不自由の中に、経済的な貧しさの中にある者。今日食べる物もなく、貧しさの中に死んでいく者、希望を持てない暗闇の中にある者、そして、ぬぐうことのできない自らの汚れ、罪の中に悩める者の中に神は住まわれます。それが飼い葉桶の中に寝ておられる乳飲み子・イエス。それが神のしるしです。 事実、当時貧しい人々の代表とされていたような羊飼いに最初にイエス誕生の知らせが届き、そして、神の約束とは関係のない異邦人である東方の博士がイエスを拝みに来訪します。 これはユダヤ人だけではなく「全ての民に与えられるしるし」です。私達にも与えられ、あなたにも与えられるしるしです。 家畜小屋、飼い葉桶は、貧しく、暗く、汚れた場所です。「飼い葉桶」は罪のもとにある私たちの心を指してはいないでしょうか。そこに、光と命を与えるためにイエスは来られたのです。 救い主イエスが汚れた飼い葉桶に向かって来て下さったことは、私たちが自らの貧しさ、闇、汚れに目をとめ、認める覚悟が必要です。 あなたの世界・人生は辛く、困難で、苦しみ、罪深さ、貧しさ、死に満ちているでしょうか。その中に、救い主はお生まれ下さったのです。
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